脾臓の働きとセルフケアのツボの紹介

🩺【西洋医学的な脾臓の働き】

脾臓は「血液のフィルター」と「免疫の要」のような役割を果たしています。

「脾臓(ひぞう)」は、体の左上腹部(胃の後ろ・肋骨の下あたり)にある臓器で、体の免疫と血液の管理に関わるとても大切な器官です。
ここでは「西洋医学」と「東洋医学(中医学)」の両方の視点からわかりやすく説明します。

主な機能:

  1. 古くなった赤血球を壊す

    • 赤血球は約120日で寿命を迎えます。
      脾臓はその古い赤血球を分解し、鉄などを再利用します。

  2. 血液を貯蔵する

    • 体が出血したときなどに備えて、血液を一時的に貯めておく「血液の貯蔵庫」として働きます。

  3. 免疫機能

    • 細菌やウイルスなどの異物をキャッチし、リンパ球(白血球の一種)を使って免疫反応を起こします。
      → 感染症から体を守る重要な役割。


🌿【東洋医学(中医学)的な脾の働き】

東洋医学でいう「脾(ひ)」は、西洋医学の脾臓だけでなく消化・吸収・代謝を司る機能全般を指します。
つまり、胃やすい臓の働きも含む広い意味で使われます。

主な働き:

  1. 運化作用(うんか)

    • 食べ物を「気(エネルギー)」と「血」に変える。
      → 栄養を全身に運ぶ「消化吸収と代謝の中心」。

  2. 統血作用(とうけつ)

    • 血を血管の中に留める働き。
      → 脾が弱ると「アザができやすい」「生理が長引く」などの出血傾向が起こる。

  3. 昇清作用(しょうせい)

    • 体に必要なエネルギーを上に持ち上げて、脳や心へ届ける。
      → 脾が弱ると「だるい・集中できない・まぶたが重い」などの症状が出る。


🧘‍♀️【脾の不調サイン(東洋医学的)】

  • 食欲不振、消化不良、下痢・軟便

  • 手足のだるさ、むくみ

  • 集中力の低下、やる気が出ない

  • 甘いものを欲しがる

  • 口の中がねばねばする


🍚【脾を元気にする生活法】

  • よく噛んで食べる(消化を助ける)

  • 冷たい食べ物・飲み物を控える(脾は冷えに弱い)

  • 適度な運動で血流をよくする

  • 甘味(自然な甘み)は「脾」を養う
    → 例:さつまいも・かぼちゃ・米・人参など



🌿【脾に関係する代表的なツボ】

① 三陰交(さんいんこう)

📍場所:
内くるぶしの頂点から指4本分(約5〜6cm)上、すねの骨のすぐ後ろのくぼみ。

効果:

  • 脾・肝・腎の3つの経絡が交わるツボ(女性の三大ツボとも言われます)

  • 胃腸を整える

  • むくみ・冷え・生理不順・更年期症状・下腹部の張りなどに効果的

🖐押し方:
親指で少し強めに5〜10秒ほど押して離す、を3〜5回繰り返します。
温めても効果的(お灸もおすすめ)。


② 足三里(あしさんり)

📍場所:
膝のお皿の下の外側のくぼみから指4本分下、すねの骨の外側。

効果:

  • 胃と脾の代表的なツボ

  • 消化不良・胃もたれ・倦怠感・足の疲れに効果

  • 免疫力アップ、元気をつけるツボとしても有名(養生の基本)

🖐押し方:
少し痛気持ちいい程度に、ゆっくり3〜5回押す。
お灸もおすすめです。


③ 血海(けっかい)

📍場所:
膝の内側、膝のお皿の内上角から指3本分上のあたり。

効果:

  • 「血」を整える代表ツボ

  • 月経トラブル、冷え、肌荒れ、疲れに効果的

  • 脾の「統血作用(血を血管内に留める)」を助ける


④ 地機(ちき)

📍場所:
三陰交の少し上、すねの内側の筋肉(ふくらはぎの下部と膝の中間あたり)。

効果:

  • 脾経のツボで、むくみや下肢のだるさに◎

  • 消化不良・生理痛にも有効


⑤ 大都(だいと)・太白(たいはく)

📍場所:
足の親指のつけ根まわり。

  • 太白: 親指のつけ根、少し盛り上がった部分の内側。

  • 大都: 太白のすぐ先、親指の付け根と第2指の間のくぼみ。

効果:

  • 脾経の原穴(太白)として、脾の働きを直接整える

  • 食欲不振、疲れやすい、胃のもたれなどに効果的


☀️【セルフケアのポイント】

  • 入浴中や寝る前に軽く押すと◎

  • お灸(市販の温灸タイプ)を使うとより効果的

  • 食後すぐは避け、リラックスした状態で行うのがポイント